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天空の郷
吉延の自然・棚田の原風景を将来につなぐ集落営農を目指して
むらづくり
こんにちは、吉延営農組合です。
わたしたちの吉延集落では、平成 12 年度に集落全体が1組織にまとまり集落協定を締結し活動を始めたことをきっかけに、地域の農地を地域で守っていくという意識が高まり、「吉延の自然・棚田の原風景を将来につなぐ集落営農を目指して」という組織のテーマのもと集落が一体となり、平成 19 年 1 月、地域の営農活動の中心となる吉延営農組合が設立されました。
吉延営農組合の設立により、稲作の協業化による農家一人一人の負担軽減や高齢農家への支援体制、鳥獣害対策など持続可能な営農体制が確立され、さらには交流イベントの開催など地域の活性化活動にも発展。
視察研修の受け入れなども行うモデル的な組織となっていることから、集落においても県においてもなくてはならない組織となっています。
持続可能な営農体制の確立
平成 23 年に稼働開始したライスセンターを活動拠点として乾燥機・トラクター・田植え機等の共同利用機械を整備、個々 の農家の機械の維持管理・更新に係る費用等の負担が軽減され、稲作の生産コスト低減・生産性の向上が図られています。
吉延集落の協定では、高齢や病気などの理由で耕作や農地の維持管理が難しくなった農家に対して営農組合が農作業受託により農地の保全を引き続き行うという支援体制が規定されており、高齢農家でも農業に取り組みやすい体制が確立されています。
また、このことは集落の農地及び地域資源である美しい棚田風景の保全にも繋がっています。
ブランド米の生産
本山町では、米価の下落を受け、米1粒の単価を上げようと平成 20 年に本山町農業公社と農家らが集まって協議会を立ち上げ、米のブランド化をスタートさせました。
他地域の栽培方法を参考にし東京の著名な米店と意見交換するなどした結果、平成 21 年、海洋深層水のにがりを散布する農法や大粒厳選等を取り入れたブランド米「土佐天空の郷」が誕生しました。
協議会立ち上げの翌年である平成21年から「土佐天空の郷(ヒノヒカリ、にこまるの2品種)」の生産を開始し、平成 22 年に静岡県で開催された「お米日本一コンテスト」では、出品 397点の中から吉延で生産した「土佐天空の郷(にこまる)」が最優秀賞を獲得しました。
西日本初となる受賞は、米価が下落する中で棚田存続を目指すブランド化の取り組みに勢いが増すこととなり、また全国放送のグルメ番組やクイズ番組などのメディアにも取り上げられるようになったことで、農産物の高付加価値化による農家の所得向上や意欲向上など成果を上げています。
現在、吉延営農組合では約10 戸・10haでの生産を行っており、全農家がエコファーマー(高知県認定)を取得、農薬や化学肥料を控えた特別栽培米(高知県地域比5割減)の生産を行なっています。
栽培に参加する農家が増え、栽培面積も倍になったことで耕作放棄地は減少、後継者が将来展望の持てる稲作農業の確立に繋がっています。
交流人口の拡大
ブランド米の生産者等で組織する本山町特産品ブランド化推進協議会は、ブランド米のPRのため、平成 22 年度から田んぼアートや棚田コンサートを主催しています。
田植えには、協議会や吉延営農組合のメンバーはもちろん、高知県内の大学生や、お米の消費者、一般公募で集まった県内外の方など、多方面から幅広い層が参加しており、交流の輪が広がっています。
吉延営農組合主催でも田んぼアートを開催、都市の消費者との体験交流を行っており、完成したアートを一目見ようと多数の観光客が訪れています。
また昨年からは、営農組合員の農家が案内する棚田散策ツアーがスタート、旅行会社や体験プログラム予約サイトを通したツアー参加者の受け入れにより、精力的に交流人口の拡大を図っています。
古くから大切に受け継がれてきた地域資源の活用により地域内外の人の繋がりが深まっていることは、集落の住民にとって大きな活力になっています。
集落の活性化
一度は途絶えていた集落の伝統行事。
吉延営農組合は、町の天然記念物に指定されている大杉と乳銀杏のしめ縄作りを平成 20 年に復活させ、毎年末に住民と力を合わせて大杉は約10m、乳銀杏は約8mの大縄を作り、大きな達成感を味わって新年を迎えるなど、集落を盛り上げています。
吉延営農組合は、棚田を見渡せる展望台と駐車場を整備するなど、観光素材としての地域資源の磨き上げにも努めています。
棚田の風景が美しいシーズンになると展望台の駐車場には県外ナンバーの車も多く見られ、取り組みの成果を住民たちも実感しています。
吉延集落では、女性が活躍できる場づくりや収益をもたらす取り組みとして、平成 29 年から加工品開発を始めており、現在は土佐あかうしの牛脂を用いた製品や漬物等を試作品として作成するなど、収益をもたらす活動準備をしています。
地場産農産物の6次産業化・収益をうみだす活動ということだけでなく、地域の女性が活躍できる場を創出しています。
吉延営農組合の活動は、農地の保全・持続可能な営農体制の確立にとどまらず、交流イベントの開催など地域活性化を目指した活動にも発展しています。